みことかいぶつ
大切なひとを助けたくて、悪魔の炎に耐え
それを打ち消す力を得た巫女と、
大切なものを守りたくて、忌み嫌われ消滅を
望まれる悪魔の炎を奪った怪物。
どちらか一方が消えてお互いの思いが
報われない運命をどうにか変えようと、
二人とも助かる方法を求めて
巫女ヨーミウと怪物ガトが世界中を旅する話。
寡黙なヨーミウと賑やかなガトは、
出会う人々から敬遠されてしまうが
心は一緒なので、たぶん大丈夫。
ヨーミウ
悪魔の炎に大切な物を捧げ
大切な者を守る覚悟の試練によって、
”五感”を焼かれて巫女になった。
極端に寡黙でどこか不気味な雰囲気を持つ。
五感というフィルターを失くしたので
あるがままの世界をあるがままに感じ取る。
彼女に嘘は通用しない。
ガト
自由の利かないヨーミウに付き添い、彼女を守る従者。
禍々しい姿と強靭な力は、すべてヨーミウのために、悪魔から奪って
手に入れた。
主人とは正反対にとても表情豊かで、
ちょっとうるさい。
本当は優しく、気が弱いタイプだが
その姿のために誤解を受けやすい。
ストーリー
太古の昔、先祖の時代。火によって身体を燃やし、剥き出しになった魂を餌とするため、そして自らに捧げる眷属とするため、悪魔がある一族に憑りついた。
それは必ず決まった年齢に達したものから選ばれる。眷属となれば性質は悪魔のそれとなり、
己の意思は喪失されることを意味した。
一族を思うがままの獲物として手に入れながら、悪魔は彼らに、「焼かれるものを生贄とし、無事に生き延びることができたなら、一族を呪いから解放する力を与えよう」と言った。
その力は、命より大切なものと引き換えにすることで得られると。
「けれどもし、途中で命を惜しんだら、わずかでも喪失を恐れたら、炎は命も魂も全てを焼き、奪う」
誰も呪いを解けずに至った現代──
選定の年齢を前にした二人の若者。
眷属として仲間を燃やすことを嫌悪し、苦悩する友を憂いて、少女が一人、生贄として名乗り出た。
残酷な宿命から友を救う覚悟によって、少女ヨーミウは生き残り、元凶の悪魔に対抗できる力を得る。しかし代償として多くを失った彼女は、まるで魂を失くしたように、生気のない姿になった。
同じ頃、自分のために犠牲になることを選んだ友を守りたい一心で、
他ならぬ悪魔から力を奪うことを思いついた少年がいた。
自身の心だけ残し、彼は以前の姿も名前も捨て、悪魔となって生まれ変わる。
別人として再会した二人。
巫女として怪物として、互いに消し合うことを課せられたが、
心を持ち続けた二人は、相手を思い合う道を選ぶ。